最終更新日:2022/ 2/11(金) 10:11:06
本サイトが旧仮名(歴史的仮名遣)と旧字体(いはゆる「康熙字典体」)を使ふ理由
本サイトの表記は、すべて歴史的仮名遣と康熙字典を典拠として作られてきた明治以来の活字字体(「いはゆる『康熙字典体』」)を使用してゐます。このページでは、その理由などを説明します。
なぜ、歴史的仮名遣を使ふのか。
本サイトの制作者には、「現代仮名遣い」より歴史的仮名遣の方が合理的、と思はれるからです。
現代の日本において、個人に対して、特定の表記方法を強制する法令はありません。1986年の内閣告示第1号「現代仮名遣い」も、その前書きにおいて「3.この仮名遣いは、科学、技術、芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない」と明記してゐます。
また「現代仮名遣い」は、「常用漢字表」(旧・当用漢字表)とともに、戦後の国語改革の柱となる規範ですが、その常用漢字表について、今日、その「厳守」を主張される方は多くないと思はれます。最近は新聞社なども、必要に応じて、表外の漢字を振仮名なしで使用する傾向にあります(例:口蹄疫の「蹄」)。
さう考へますと、「現代仮名遣い」に囚はれる理由もないのではないか。私は1990年ごろ、そのやうに考へまして、あらためて「現代仮名遣い」と「歴史的仮名遣」を比較した結果、後者の方が相対的に、表記の規範として合理的である(理窟に合つてゐる)との結論※に至り、本サイトでも、歴史的仮名遣を使用することにしました。
※この点につき、興味や疑問のある方は、福田恆存『私の国語教室』をご一読ください)。
なぜ「現代仮名遣い版」を制作しないのか。
2008年3月の本サイト開設時には、「現代仮名遣い版」も制作し、並行して公開してゐました。しかし下記の理由により2016年7月に廃止しました。
- 並行運用による更新作業の煩雑さに、対応できなくなつたこと。
- 本サイトの閲覧者の大半は、歴史的仮名遣を読む能力をお持ちであらうと判断したこと。
なほ事前に半年間、皆さまからの意見を募りましたが、とくに反対する意見もありませんでしたので、廃止したしだいです。
なぜ、康熙字典を典拠として作られてきた明治以来の活字字体(いはゆる「康熙字典体」・旧字体)を使ふのか。
本サイトの制作者には、新字体(常用漢字表の字体・常用漢字体)よりも旧字体のはうが、統一性に優るやうに見えるからです。
常用漢字体は、さまざまな不統一を内包してゐます。たとへば「道・辻・迷・謎」を最新の字典で調べると、点がふたつの「しんによう」と、ひとつの「しんによう」が混在してゐます。もちろん「いはゆる『康熙字典体』」にも、多くの不統一はあります。けれども常用漢字体と較べれば、まだ相対的に統一性や一貫性において優ると判断しましたので、本サイトも「いはゆる『康熙字典体』」で作成することにしました。
※ただし2022年までは制作者の多忙と不勉強により、高精度の旧字体フォントを利用できませんでした。そのためやむなく新字体を使用してゐました。
本サイトが使用する旧字体フォントについて。
本サイトで使用する旧字体フォントは、オープンソースの「原ノ味フォント」を、本サイトの制作者が独自に改変し、旧字体に対応させたものです。改変の内容は以下の通りで、作業にさいして文化庁文化部国語課編『明朝体活字字形一覧 1820―1946』大蔵省印刷局、1999年(ISBN:9784174145002)を参照し、1920―40年代に実際に使用されてゐた字形を再現することに努めました。
- 新字体と旧字体のユニコード番号を調べ、それぞれに適用されるCID番号の字形を交換した。
- 新字体と旧字体の双方にユニコードが振られてゐない文字については、適用されるCIDの字形のみを変更した。
- 「造・適・遍・校・較・庶・遮・藤・謄・毒・凞」の11字については、適当な字形がAdobe-Japan1-6の中になかつたため、元フォント(原ノ味フォント)の字形を手作業で修正した。
また以下にも留意してください。
- 本サイトではWebフォントの技術を利用してゐます。閲覧するデバイスによつてはすべて新字体で表示される可能性があります。
- 本サイトにおける旧字体は、コンピュータの内部ではすべて新字体として処理されます。したがつてページ内検索は新字体でキーワードを指定してください。
- 同じ理由により、文字列をコピーして別のソフト(ワードなど)に貼りつけると新字体に変換されます。
- 本サイト制作者も対応しきれないため、改変したフォントは、一般には配布しません。また質問や要望にもお応へできません。なにとぞご諒承ください。なにか提案をいただいても実現できないと思ひますが、それでも宜しければ連絡先までお報せ下さい。