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最終更新日:2010/ 9/ 9(木) 20:43:37

国家間賠償史

目次

  1. 概要
  2. これまでの研究成果
  3. 関連データ
  4. 現在の進捗状況

概要

私が、このテーマに関心を持つやうになつたのは、大学院の博士課程に在籍する傍ら、国立国会図書館(調査立法考査局外交防衛課)で働いてゐた時のことです。

ある日、上司から「日本が過去に関係した国家間賠償事例」の調査を命じられたため、私は通常業務の合間を縫つて、『日本外交文書』などを参照しながら、事例の蒐集をはじめました。その後、蒐めた諸事例の整理や分析を進めるうちに「そもそも国家間賠償とは何か」について考へるやうになり、さらに、各事例の特徴や異同についても、細かく分析するやうになりました。

またそのころ、私は外交防衛課において、おもに国際法担当者の調査業務の補助をしてゐました。その過程で、戦時国際法(国際人道法)にも触れるやうになり、そちらにも興味を持ちはじめます。戦場における軍人や民間人の行動が、戦後になつて国家間賠償の原因となることは、決して少くありません。当然「賠償」を理解するには、国際法に関する一定の知識と理解が必須となります。さうしたことから、私のなかで「国家間賠償に対する興味」と「戦時国際法に対する関心」とが、結びつくことになりました。

以上のやうな経緯から、私は「日本の国家間賠償史」を自らの研究テーマのひとつとするに至り、また併せて、戦時国際法についても勉強するやうになりました。ただし、私自身は学部・大学院を通じて、国際法学を専攻したことはありません。むしろ、政治外交史や国際政治学の領域から、この分野に足を蹈み入れてゐます。そのため、主として歴史学的・政治学的な手法を用ゐて、このテーマを研究してきました。そのことは下記の研究成果を一瞥していただければ明かかと思はれます。

さらに私は、2004年度から、愛媛県の松山大学に国際政治学担当の教員として着任いたしました。ご存知の方も多いかと思はれますが、日露戦争のころ、松山には捕虜収容所が設置されてをり、多数のロシア兵捕虜を収容してゐます。大学の裏手には「ロシア人墓地」もあり、不幸にして戦場で傷を負ひ、松山で死去した兵士などが葬られてゐます。その関係で、私は松山に着任する前後から、戦時国際法にまつはる勉強の一環として、戦争捕虜の問題についても、いろいろと調べるやうになりました。

今後は、これまで蒐集した明治大正期の事例のうち、とくに関心を引かれたものについて、詳しく検討してみたいと思つてゐます。また20世紀後半以降(第二次大戦後)の事例や他国の事例についても、焦点をあててゆきたいと考へてゐます。

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これまでの研究成果

「詳細データあり」マークのついた業績に関しては、詳しい情報が別に用意されてゐます(タイトルをクリックしてください)。

(1) 研究論文(単行本に収録されたもの)

  1. 戦争賠償と日本の世論:占領・講和期における戦争賠償論の形成と展開「詳細データあり」マーク
    長谷川雄一編『日本外交のアイデンティティ』南窓社〈国際関係学叢書 8〉、2004年、38―72頁(35頁)。

    1a.「戦争賠償與日本的輿論:占領・媾和期間之戦争賠償論的形成與展開」(王宗瑜訳/中国語版)「詳細データあり」マーク
    中国社会科学研究会『跨世紀中日関係研究:東瀛求索2005-2006年巻』北京:社会科学文献出版社、2010年、59-95頁(37頁)。

  2. 松山捕虜収容所の概要」(宮脇昇 松山大学助教授との共著)「詳細データあり」マーク
    松山大学『マツヤマの記憶:日露戦争100年とロシア兵捕虜』成文社、2004年、9―34頁(26頁)。
  3. 捕虜の経費を負担したのは誰か「詳細データあり」マーク
    松山大学『マツヤマの記憶:日露戦争100年とロシア兵捕虜』成文社、2004年、176―190頁(15頁)。
  4. 日露戦争における「戦後補償」問題「詳細データあり」マーク
    日露戦争研究会『日露戦争研究の新視点』成文社、2005年、357―373頁(17頁)。

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(2) 研究論文(学術誌に収録されたもの)

  1. 明治前期における日本の国家間賠償(1)」『レファレンス』(国立国会図書館)第563号、1997年12月、63―82頁(20頁)。「詳細データあり」マーク
  2. 明治前期における日本の国家間賠償(2)」『レファレンス』(国立国会図書館)第564号、1998年1月、122―138頁(17頁)。「詳細データあり」マーク
  3. 明治後期における日本の国家間賠償(1)」『レファレンス』(国立国会図書館)第574号、1998年11月、33―55頁(23頁)。「詳細データあり」マーク
  4. 明治後期における日本の国家間賠償(2)」『レファレンス』(国立国会図書館)第575号、1998年12月、74―90頁(17頁)。「詳細データあり」マーク
  5. 大正期における日本の国家間賠償(1)」『レファレンス』(国立国会図書館)第582号、1999年7月、36―64頁(29頁)。「詳細データあり」マーク
  6. 大正期における日本の国家間賠償(2)」『レファレンス』(国立国会図書館)第583号、1999年8月、87―114頁(28頁)。「詳細データあり」マーク
  7. 一九世紀後半の日本における近代国際法の適用事例:神戸税関事件とスエレス号事件」『東アジア近代史』(東アジア近代史学会)第3号、2000年3月、67―83頁(17頁)。「詳細データあり」マーク
  8. 国家間賠償の定義に関する一考察:明治・大正期の事例から」『国際研究論集』(秀明大学)第13巻4号、2001年1月、152―180頁(29頁)。「詳細データあり」マーク
  9. 国家間賠償の実施条件に関する一考察 :明治・大正期の事例を題材として」『皇學館論叢』(皇學館大學人文學會)第35巻6号、2002年12月、1―47頁(47頁)。「詳細データあり」マーク

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(3) 口頭発表

  1. 東アジア近代史学会 第4回研究大会(1999年6月27―28日 早稲田大学)シンポジウム関連報告
    題目:明治前期における日本の国家間賠償と近代国際法「詳細データあり」マーク
  2. 松山大学法学部学術研究会「日露戦争当時のミクロレベルの日露関係」(2003年8月8日)報告
    題目:日露戦争における捕虜経費の支について「詳細データあり」マーク

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関連データ

関連データはデータベースのページに掲出してあります。

現在の進捗状況

このテーマに関する現況は進捗状況のページに掲出してあります。

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