最終更新日:2008/11/24(月) 20:04:35
論文「個人レベルにおける史料のデジタル化に関する一試論」
書誌情報
- 名称:
- 個人レベルにおける史料のデジタル化に関する一試論 (上)/(下)
- 副題:
- (上) 音声史料のデジタル化技法
(下) 写真史料のデジタル化技法
- 種別:
- 論文(学術誌に収録されたもの)
- 単著/共著の別:
- 単著
- 発行年月:
- (上) 2002年2月
(下) 2002年4月
- 発表誌:
- 『皇學館論叢』(皇學館大學人文學會)
(上) 第35巻1号
(下) 第35巻2号
- ISSN:
- 02870347
- ページ数:
- (上) 1―20頁(20頁)
(下) 1―22頁(22頁)
概要
1.論文の要旨
(上) 音声史料のデジタル化技法
近年における、パーソナル・コンピュータ(パソコン)の性能向上とインターネットの普及は、歴史学の研究技法にも大きな影響を及ぼしつつある。多くの研究者にとつて、史料や先行研究のありかをインターネットで調査・確認したり、論文をパソコンで執筆したりするのも、とくに珍しいことではなくなつてゐる。しかし、個々の研究者が入手した音声史料や写真史料を、コンピュータで操作できるようにデジタル化し、他の研究者と共有する技法については、未開拓の部分が大きい。そこで本稿では、筆者がこれまで摸索してきた、これらの史料をデジタル化し活用する技法について紹介し、新技法の導入によりいかなる効果が期待されるか、また予想される法律上・技術上の問題としてどのやうなものがあるか、それぞれ概観することにする。(上)編では音声史料(インタビューの録音記録)を、個人研究者がパソコンを使つてCD化する技法について取上げる。
(下) 写真史料のデジタル化技法
本稿では、写真史料をデジタル化する技法についてとりあげる。写真史料は、その基本的性格として、史料の内容が文字ではなく画像として記録されてゐること、精巧な複製が難しいことなどが挙げられる。そのためこれまでは、日記や書翰などの「文字史料」と比較すると、研究史料として活用される頻度が低く、その保存や管理、データ共有の技法についても、ほとんど検討されることがなかつた。しかしパソコンとスキャナを使つて、これらをデジタル化し、研究者間で広く共有できるやうにするのは、さほど難しい作業ではない。本稿は、筆者が開発中の新しい技法の概要について紹介し、それが写真史料の(研究素材としての)可能性を大きく拡げることなどを明かにする。一方、写真をデジタル化することにより、著作権法上の問題などが生じる可能性にも言及する。
2.論文の目次
(上) 音声史料のデジタル化技法
- はじめに
- 1 従来の技法
- 2 新しい技法の概要
- (1)使用する機材
- (2)インタビューの録音
- (3)コンピュータへの転送
- (4)CD-Rへの書込み
- 3 ケース・スタディ
- (1)使用する機材
- (2)インタビューの録音
- (3)コンピュータへの転送
- (4)CD-Rへの書込み
- オーディオCDとして作成する場合
- データCDとして作成する場合
- CDエクストラとして作成する場合
- 4 期待しうる効用
- (1)史料劣化の防止
- (2)利用の簡便化
- (3)複製の簡易化
- 5 予想される問題点
- (1)CD-Rの「寿命」
- (2)データの改竄
- (3)複製の簡易化に伴ふ問題
- 法律上の制限
- 証言者との信頼関係
- 研究者の心理
- 6 今後の展望
(下) 写真史料のデジタル化技法
- 1 写真史料の基本的性格
- 2 従来の技法
- (1)史料の保存
- (2)分類と整理
- (3)情報の共有
- 3 新しい技法
- (1)使用する機材
- (2)原史料の分類と保存
- (3)史料の読取り
- スキャナの解像度
- カラーか白黒か
- 画像のフォーマット
- 大判写真の処理など
- (4)データベースの作成
- (5)CD-Rへの書込み
- 画像ファイル
- データベース用ファイル
- 4 期待しうる効用
- (1)史料劣化の防止
- (2)利用の簡便化
- (3)複製の簡易化
- 5 予想される問題点
- (1)法律上の問題
- (2)データの改竄
- (3)原史料の所有者との関係
- (4)作業に要する労力
- 6 今後の展望
- をはりに
正誤表・補足情報
いまのところ誤記や誤植は見つかつてゐません。なにかお気づきの点がありましたら、ご一報いただけると幸です。
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